設計士が自宅で描いたカントリースタイル|芽室町・朝日自邸

朝日邸のポイント

  • 芽室町東芽室に2009年完成。総2階・三角屋根・左右対称のカントリースタイルで、1階が両親世帯、2階が朝日社長世帯の2世帯住宅
  • ダイニングを見上げる梁は、古民家の母屋で使われていた50年以上前の古材。釿(ちょうな)や斧の加工跡、煤による黒ずみをそのまま生かす
  • キッチン・建具・収納棚はメーカー既製品ではなく、大工・建具職人・家具職人による造作。新築時にあえて削り傷を入れ、使い込んだ表情を出した箇所も
  • 白基調の壁にパイン材の床。古い食器棚の扉をリユースした飾り棚など、素材を生かした設え
  • 浴室と洗面室を分離し、オーダーの洗面台・マリン灯・木製窓枠でまとめた水まわり
  • 設計・施工・現場管理をすべて朝日良昌社長本人が担当。同社の設計の原点となった住まい

自分の理想を、自宅でかたちにする

この家は、私(朝日)自身の住まいです。少しご案内させてください。

完成は2009年。芽室町東芽室の住宅地に、総2階・三角屋根というシンプルな形の2世帯住宅を建てました。塗り壁や窓枠、屋根材にカントリーのテイストをまとわせ、左右対称のシンメトリーにまとめる。外観だけでも、自分の好みをずいぶん詰め込んでいます。

木製のドアに塗り壁、そして不定形に組み合わせた床タイル。玄関まわりにも、素材選びのこだわりを効かせました。

玄関を入るとすぐが玄関ホールで、ここで住まいが上下に分かれます。1階は両親の世帯、2階が私たち家族の生活空間です。ホールの左右には、靴や衣類をしまえるクロークを設けました。

家族が自然と集まるのは、2階のリビングです。白を基調にした壁にパイン材の床を合わせると、木のやわらかな質感で、やさしい雰囲気になりました。

撮影したこの日も、窓から明るい光が差し込んで、暖かく心地のよい時間でした。

飾り棚は、古い食器棚の扉をリユースしてつくりました。年月を重ねた建具が、そのまま趣きになっています。

木製の棚も、カントリースタイルの家に合わせてしつらえています。

ダイニングの上に渡した梁は、古民家の母屋で使われていた古材を活用したものです。50年以上前に大工が釿(ちょうな)や斧で削った手加工の跡、そして長い年月のあいだに煙や煤が生んだ黒ずみ。そうした自然な風合いを、あえてそのまま生かしました。

キッチンもカントリースタイルで統一しています。キッチンや建具、収納棚は、メーカーの既製品ではなく、大工や建具職人、家具職人の造作です。人の手でつくり上げた温かみが、きっと伝わると思います。

棚の角が丸くなり、塗装も剥がれて……いえ、9年ぶんの経年劣化ではありません。新築のときに、大工がつくってくれた建具を、あえて削ったり傷を付けたりする。そうすると、はじめから使い込んだような表情が生まれるのです。

来客が洗面室を使う場面もあるので、生活感の出やすい浴室とは分けて配置しました。浴室と洗面室は分離しています。白を基調にしたオーダーの洗面台、マリン灯、木製の窓枠にも、私なりのこだわりを込めました。

私が家づくりで大切にしていること

この家は、施主も設計も私自身。ですから、ある意味では思いどおりにつくりました。モダンな家も好きですが、いちばん魅力を感じるのは、長く暮らしても飽きが来ず、子どもがうっかり傷を付けても、見た目が悪くなるどころか、むしろ味になっていく。そんなデザインの家です。

住まいを長く心地よく保つには、定期的なメンテナンスが欠かせません。ただ、日々の手入れが得意な日本人は多くありませんし、リフォーム費用まで見込んで家を建てる人も、そう多くはない。だからこそ、手をかけすぎなくても大丈夫な家を目指したい。それも、私の家づくりの大事なポイントだと思っています。

私が育ったのは、浦幌というのどかな土地です。今も、人のつながりが強い田舎が好きで、起業の地に芽室町を選びました。私の目標は、田舎から都会へ出て行った子どもたちが、生まれ育った街の美しい景色や、懐かしい実家に帰ってきたくなる。そんな魅力的な田舎をつくることです。子どもたちに愛されるカントリー(田舎)のヴィレッジ(村)をつくるために、これからも力を尽くしていきます。

私は昔から、古い西洋建築や神社仏閣を見て歩くのが大好きで、そうした建物からも、住宅の美しさのヒントをいつも探しています。前職の住宅会社では、上司にデザインを徹底して教わり、何度も何度も図面を描き直しながら、実践を通して一つひとつ設計を身につけてきました。住宅会社に入っても、デザインまで学べる人はごくわずか。私はその機会に恵まれたのだと思います。カントリーヴィレッジでは、カントリースタイルの家と、少し男前なインダストリアル系の住宅を軸に、これからも提案していきたいと考えています。

とはいえ、この家は私自身のこだわりや工夫を、めいっぱい盛り込んだ一軒です。ここまで凝らなくてもいい、という方も多いはず。お客様の思いを大切に、柔軟に対応しますので、どうぞ安心してください。

経歴にも少し触れておきます。20代は帯広の大手住宅会社で住宅資材の購買を担当し、木材やビスといった大工道具、建具や住設機器など、家を建てるのに欠かせない建材の商品知識や価格を学びました。

30代は、デザインセンスの高い帯広の住宅会社で、設計や営業、工事管理まで、さまざまな経験を積みました。

また、寒さの厳しい十勝で住宅の省エネ性能の向上に取り組む十勝2×4協会の一員として、現場の施工精度を確かめるフレーミング検定や気密測定などにも携わってきました。住宅の基本性能を決しておろそかにしない。その姿勢を、十勝の先輩住宅会社の方々から学びました。断熱・気密性能のさらなる向上にも、これからしっかり取り組んでいきます。

これまで、旭川圏やオホーツクなど、十勝以外の住宅も設計・工事管理してきました。十勝の外でも、地元の大工と連携しながら、設計や工事管理を担当できます。

新築に限らず、リフォームやリノベーションも喜んでお引き受けします。腕のいい大工に加えて、少し難しい建具や家具のデザイン・設計をお見せしても、進んで挑んでくれる建具職人・家具職人がいます。彼らの力も借りながら、生涯住み続けても快適で、愛着のわく家づくりをお手伝いさせていただきます。