
十勝の農家住宅ならではの家づくり
十勝は畑作、酪農などを中心とする、日本有数の農業地帯です。広大な敷地に農地・倉庫・機械庫が並ぶ環境は、一般の住宅地とは大きく異なります。だからこそ農家さんの住宅は、「農業の仕事」と「暮らし」をどう切り分け、どう繋げるかが設計の核になります。
カントリーヴィレッジは農家さんのお施主様の施工実績が多数あります。その経験から見えてきた、十勝の農家住宅ならではの設計のポイントを整理してご紹介します。
裏玄関・作業動線の工夫|においも汚れも持ち込まない

農家住宅のポイントの1つは、農作業を終えて自宅に戻る際の動線です。畑作であれば土埃、酪農なら匂いなどを自宅に持ち込まないようにしたいという要望があります。
農家住宅の基本動線は「裏玄関→作業着を脱ぐ→洗濯機や風呂に直行できる」というもの。玄関にスロップシンク(作業用の深型シンク)を設け、汚れた衣類をその場で洗えるようにするケースもあります。
ただしDハウス(大型農業倉庫)などの中に休憩スペースや着替え場所がある農家では、住宅そのものには裏玄関からの動線を要望されない方もいます。
外壁色の選び方|虫・土埃・灰への対策

農家住宅でしばしば話題になるのが外壁の色選びです。一般的に白や明るい色は清潔感があって人気がありますが、農村環境では注意が必要です。
畑作地帯では春から夏にかけて土埃が舞います。白い外壁は汚れが目立ちやすく、メンテナンスの頻度が上がりやすいです。
外壁色についても「汚れが目立ちにくく、虫を引き寄せにくい」という視点でグレー系やチャコール系のダーク寄りの色を選ぶ農家が多いです。
また、スズメバチは直角の軒天に巣を作りやすいという特性があります。士幌町S邸では、軒天の角度をあえて緩い勾配にすることでスズメバチ対策を行いました。畑作か酪農かなどによっても最適解は変わります。設計段階で農業形態と周辺環境をヒアリングした上で、外壁材と色を提案するのがカントリーヴィレッジのアプローチです。
来客対応スペース・事務室の考え方

農家には思った以上に来客が多く、農協の担当者、農業機材の営業担当など、仕事上の関係者が家を訪ねてくるケースもあります。
そのためリビングとは別に、来客が入れる小部屋や事務スペースを設けたいという要望もあります。書類の整理や農業日誌をつける作業スペースを兼ねた「書斎兼来客対応室」は、農家住宅の定番プランの一つです。ビジネスとプライベートを空間として切り分けることで、家族の生活空間を来客から守ることもできます。
打合せのスケジュール感|農家ならではの時間の使い方
農家さんとの家づくりで意識しているのが、打合せのタイミングです。畑作農家は農繁期(春の播種・秋の収穫)が非常に多忙なため、打合せは雨の日や農閑期(冬)に集中しがちです。一方、酪農農家は年間を通じて毎朝夕の搾乳作業があり、曜日に関係なく忙しいため、「いつでも休める」日がありません。
カントリーヴィレッジでは、お施主様の農業形態に合わせて打合せの日程を調整します。時間の確保が難しい農家のお施主様に対しては、こちらから農場に出向いて打合せを行うこともあります。農家の暮らしのリズムを理解した上で、無理のないペースで家づくりを進めるのがカントリーヴィレッジの姿勢です。
実例紹介:十勝の農家住宅4事例
以下では、カントリーヴィレッジが手がけた農家住宅の実例を4邸ご紹介します。それぞれの農業形態や家族の要望に合わせて、動線・外観・空間設計がどのように工夫されているかをご覧ください。
農家住宅実例① 更別村|十勝の農村景観を取り込んだ2世帯農家住宅

📋 概要
所在地:更別村 工法:2×6(ツーバイシックス) 規模:約90坪・2世帯住宅
施主様の要望

農家3代目として更別村の大規模農場を引き継ぐWさんの新居は、2世帯同居に対応した約90坪の大型住宅です。間取りは奥さまが原案を作成。2世帯、中2階、和室、クリナップのキッチンなど、具体的な要望が最初から揃っていました。
農家住宅ならではの工夫
十勝の農村風景と一体になる吹き抜けリビングに、大きな高窓を組み合わせ「青空と畑を遠くまで眺められる贅沢なひとときを満喫できます」と建て主様が話すほどの開放感を実現。90坪という大きな屋根が特徴的な外観を活かし、屋根なりに傾斜した天井が吹き抜けの上部まで伸びやかに広がっています。
洗面台はメイク・スキンケアを座って行えるカウンタースペースを確保し、ドライヤー専用の収納スペースも造作しました。農家の2世帯住宅ならではの大人数での生活動線を隅々まで考え抜いた住まいです。
施主様の声
「20回近い打合せを重ね、納得の住まいになりました。外観は朝日社長の提案、内装や住設は八木さんの提案が素晴らしくて。夏の涼しさには驚きました」
👉 詳細ページ: 「大きな屋根」が印象的な更別村の農家住宅
農家住宅実例② 鹿追町|酪農&畑作の農家が実現した、猫と暮らす三角屋根の家

📋 概要
所在地:鹿追町 工法:2×6(ツーバイシックス) 農業形態:酪農・畑作の混合経営
施主様の要望
「ジブリ映画に出てくるような、生活のあたたかみを感じさせる家にしたかった」というIさんご夫妻。2匹の猫を含む家族全員が幸せに暮らせる家、そして農作業の汚れやにおいを家の中に持ち込まない動線が主な要望でした。
農家住宅ならではの工夫

最大の工夫は「勝手口→作業着を脱ぐ→ランドリースペース→脱衣所→風呂場→洗面所」という一直線の動線設計です。酪農・畑作の混合経営で毎日農作業を行うIさんが、牛舎のにおいや土汚れをリビングに持ち込まずに入浴できる「農家専用の帰宅動線」を実現しました。
キッチン横には書類を扱えるデスクスペースも設けており、農業の事務作業もこなせる実用的な設計になっています。

猫のためのキャットウォークは当社インテリアコーディネーターの八木睦美が東京の研修会に参加して設計。LDKの壁面に開口部を設け、階段・2階へとキャットウォークがつながる空間は農家住宅でありながら個性あふれる唯一無二の家となりました。
施主様の声
「朝日社長は私たちの要望から僕らのためのプランを提案してくれました。デザイン、価格、間取りなどトータルのバランスもとてもよく快適です。僕たちが本当に欲しかったものを造ってもらえた、そう思っています」
農家住宅実例③ 帯広市|農家3代目が建てたインダストリアルスタイルの平屋

📋 概要
所在地:帯広市郊外 工法:2×6(ツーバイシックス) 間取り:L字型平屋 農業形態:畑作
施主様の要望
農家3代目のKさんが求めたのは「デザイン性と断熱性能の両立」と「共有空間とプライベート空間の分離」でした。インダストリアルスタイルへの強いこだわりを持ちながら、農業の仕事でも使える実用的なスペースも求めていました。
農家住宅ならではの工夫

最も農家らしい工夫が裏玄関の設計です。裏玄関にはスロップシンクと洗濯機を設置し、農作業で汚れた衣類をその場で洗い落としてから家に入れる動線を確保しました。「農作業で衣類についた埃など汚れを落としてから家に入ります」とKさん。
書斎は天井に黒いトタン、床にクラック柄のモルタル風フロアを使ったガレージ風の空間に仕上げ、「今は釣り用具を置いているが、今後は事務仕事でも使う予定」という農家ならではの使い方に対応しています。

LDKの天井高は3.4m。窓いっぱいに広がる開口部から農村の光が注ぐ開放的な空間と、インダストリアルスタイルの統一されたデザインが融合した、農家の新しいライフスタイルを体現した住まいです。
施主様の声
「間取りも内装も、暮らしていて落ち着くなあと日々感じています。家全体の雰囲気が統一されているので視覚的に安定感があり、安らげる感じがしますね。暮らしの姿を思い描いて家づくりをしてもらえているんだなと実感しました」
農家住宅実例④ 士幌町|スズメバチ対策と汚れにくさを考えた、農村地帯のスタイリッシュな家

📋 概要
所在地:士幌町 農業形態:乳牛の預託(育成・管理) 家族:夫婦+子ども3人
施主様の要望
「格好いい外観、対面キッチン、回遊導線、開放感、1階主寝室、暖かく省エネな家」が主な要望。特に外観については農村地帯ならではの3つの条件をはっきりと伝えてくれました。①スズメバチが巣を作りにくい形状にすること、②汚れが目立たないよう明るい色を避けること、③格好よくすること、の3点です。
農家住宅ならではの工夫
スズメバチは直角の軒天に巣を作りやすいため、大きな窓の上にある軒天の角度をあえて勾配のある形状に変更しました。さらに窓周囲をグレーの塗り壁にし、光沢のあるガルバリウムとセメント風外壁材SOLIDO(ソリド)を組み合わせることで、農村環境での汚れにくさと格好よさを両立させています。

将来を見越して主寝室を1階に配置。農業の仕事が続く間も、老後になっても対応できる間取りになっています。吹き抜けの1階リビングには上下2連の大きな窓を配置し、農村の景色を取り込みながら開放感を確保しました。「冬でも天気の良い日は暖房をつけなくても暖かいです。2階やリビングから見渡す畑や山々の眺めも素晴らしい」とSさん。
施主様の声
「朝日社長の2度目のご提案が素晴らしくて、ほぼ変更ナシでこの家の外観が決まりました。せっかく自分たちの家を建てるのだから個性のある家にしたいという思いもあり、そういう意味でも朝日社長の考えてくれたデザインは個性があってよかったですね」
👉 詳細ページ:
十勝の農家住宅は「暮らし」と「仕事」を丁寧に設計する
今回ご紹介した4邸は、農業形態も家族構成もデザインの好みもそれぞれ異なります。しかし共通しているのは「農業(仕事)と暮らしの両立です。
カントリーヴィレッジでは、農家のお施主様との打合せの中で「農業の仕事のリズム」「農場の配置」「来客の頻度」といった農家ならではの事情を丁寧にヒアリングした上で設計を進めます。十勝で農家住宅をお考えの方は、ぜひカントリーヴィレッジにご相談ください。


